隔月刊となり初のメルマガ発行です。
皆様においてはお変わりないでしょうか?
1年に1度、とても日本らしい、桜の季節がやってまいりました。
桜にまつわる思い出は多々あります。
桜を求めて上野公園に行ったり、東北にツーリングに行ったりなど。
一瞬にして散るのもまた美しく、花見はこの季節の大きな楽しみです。
方や、世界に目を転じると、相変わらず戦争や物価高、為替変動など、油断ならない日々が続いています。
この世界の激変ぶりは、おそらく過去半世紀で最も激しいのではないでしょうか。
見方を変えると、世界はつねに激変しているのだが、それが情報流通の高度化で世界にリアルタイムで共有されてしまうところに、「最も激しい」と思わせる点があるのでしょう。
こんな世の中だからこそ、人は半径5メートル内の情報や人間関係を大切にし、そこから楽しみを見出すのでしょう。
毎年規則正しく咲く目の前の桜を見ながら激変する遠くの世界を想う、春の昼下がりでした。
●今月のブログ
読みました:『ペンと剣』(エドワード・サイード著)
~パレスチナのいまが見える、万人が読むべき古典名著~
https://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2026/03/31/110819
第3回「ピアニスト髙橋望によるブックトークと音楽」を開催
~楽譜と文字が起こす化学反応~
https://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2026/03/13/135225
読みました:『世界史の構造』(柄谷行人著)
~人類の未来を交換形態から予言する名著~
https://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2026/02/28/102439
2025年12月6日(土)開催:第53回 飯田橋読書会
『国家』(上・下)(プラトン著)
~知の巨人が図らずも生み出したディストピアという名のイデア~
https://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2026/02/19/114136
都内でシンポジウムを開催:音楽×数学×料理
<デタラメのすすめ> ~不規則のイノベーション~
https://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2026/02/16/171003
●今月の雑感:AI時代の、技術継承の第一歩 ~仕事を客観化する~
最近あちらこちらで事業継承のことが問題視されている。
後継者や従業員が見つからず、仕事があるのに黒字倒産をする企業は多い。
銀行など金融機関にいくと「二代目経営者にどう事業継承するのか」という話題が目につく。
人材不足や雇用のミスマッチなども、この、「継承」というキーワードで考えるとつながってくる。
仕事そのものが継承されていないのだ。
介護の現場といった資格取得者が年々増加する業種でも、慢性の人材不足が課題である。
介護福祉士を育成する友人から話しを聞く機会があった。
いわく、資格を持っていようが、現場が「要らない」というケースが多いらしい。
資格を通して介護の技術が継承されているはずなのに、である。
私がつねづね考えていることが二点ある。
一つは、資格で証明された技術に加えて「プラスの価値が重要」、ということ。
もう一つは、そのための「仕事の客観化が重要」ということ。
プラスの価値とは、経験や感性とも言い換えられる。
仕事力を高めるために、経験を積みなさい、感性を磨きなさいとよくいわれる。
しかしこうした、取得に時間がかかるうえ、雲をつかむようなことを言われても、人は路頭に迷う。
また、プラスの価値は属人的であるがゆえに、退職すると同時に価値が社外に移転してしまう。
それゆえの人材不足である。
世の中のニーズが多様化し、複雑化した昨今、「手にするべきプラスの価値が具体的になんなのかがわかりづらい」状態にある。
それゆえに、資格があるから働ける、という状態にはならない。
▲仕事を客観化することから見える価値
仕事をする人は、誰もがプラスの価値を持っている。
企業に高い価値を与える(収益を与える)技術を持つ人ほど、その技術は企業のものとして占有されがちだ。
最悪の場合その人は企業の消費財として使いつくされることもある。
近年、その傾向が強い。業界全体でみると疲弊の一途だ。
誰もが仕事にプラスの価値を持っている。
しかし、自分のプラスの価値に気付いていない人は多い。
即効性が見えないから、わからない。
年月を経て成功や失敗を重ねて少しずつ得てきたものだから、わからない。
そもそもが、プラスの価値を持っている人ほど、会社の仕事に時間の多くが取られ、振り返る時間がない。
しかしこうした人にこそ、行動してもらいたいことがある。
それは、自分の仕事を客観化することである。
客観化を実現するために最も簡単な行動は、「言語化」である。
メモや走り書きなど、簡単でもよい。
なんらかの形で目に見える文字として自分の仕事を振り返り、アウトプットすることだ。
書き出した文字を読み直してみる。
そして、何度も書き直してみる。
1時間もすると、いままで見えてこなかったものが文字として見えてくる。
自分の仕事を言語化することで、自分の仕事が精査・客観化され、上記「プラスの価値」が見えてくる。
また、仕事の弱点も見えてくる。
言語化をすればするほど、双方の解像度が上がってくる。
自分の仕事に対するあり方が成長してくるのだ。
この点に気付いていない人は、かなり多い。
とくに、仕事に経験豊富なベテランほど、プラスの価値を持っていることに気づいていない人が多い。
私の周りでは、こうしたベテランのITエンジニア
とよくお目にかかる。
どんなお仕事をされてきたのか、仕事の課題や気づきなどを箇条書きしていただくことで、自身の仕事の価値に初めて気付かれる方は多い。
まずは、自分の仕事を言語化し、客観化する。
そして仕事が客観化されれば、自分の仕事のプラスの価値と弱点の、双方が見えてくる。
これにより自分の仕事は広がり、転職や起業など、仕事の価値を高める余白の幅は広がる。
▲仕事を客観化すると、作業は技術に転じる
仕事を言語化し、客観化することには大きな意味がある。
それは、仕事を自分の手から離し、仕事を他人に伝えるところにある。
仕事は客観化された瞬間から、作業から「技術」へと次元が変わる。
介護やITエンジニアのような専門職だけではない。
接客や販売、レジ入力、在庫管理など、言語化を通して、あらゆる作業は技術へと昇華する。
そこからはじめて、自分が与えることができるプラスの価値が目に見えてくる。
継承や雇用の断絶は、社会制度や資格制度の在り方といった、インプットの問題だけが原因ではない。
仕事の言語化と客観化という、個人のアウトプットの問題である。
自分の仕事を言語化し、客観化し、プラスの価値を見つけ出す。
そして作業を技術へと昇華させ、他者に継承する。
こうした個人の行動変容は、巡り巡って、社会の底上げに必ず寄与する。
そしてAIの時代のいま、自分にしかができない仕事を生むことができる。
この時代を生き抜くベストプラクティスだ。
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ここまでお読みいただき、深謝いたします。
変化を受容できる、ゆとりある明日がみえますように!
本とITを研究する会 三津田治夫
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