新年早々アメリカの軍事作戦から真冬の衆議院選まで、矢継ぎ早の波乱が続く2026年、
皆様においてはお変わりないでしょうか?
こういう時期にこそ、心穏やかに、他者との対話を深められるとよいです。
言うが易しですが、これに尽きると思います。

ところで、本メルマガ、2018年3月にVol.1が発行され、
このVol.98をもって、まる8年が経過しました。
このタイミングに、月刊の本メルマガを、隔月刊へと変更いたします。
理由は、本メルマガ運営会社株式会社ツークンフト・ワークスの主幹事業である書籍出版企画・制作・プロデュースの業務が増加していることに加え、今期から読書会や勉強会、セミナーなどのオフライン活動に事業リソースを投入していきたい、という意図があるからです。
書籍出版というアナログ/オフライン活動から出発した当社の事業の本質に立ち返りたい、という意図もあります。

というわけで、メルマガの内容とコンセプトはいままでと変わらずですが、
発行点数を半減させ、本来の事業活動に力を注いでいく考えです。
オフライン活動の一環として本年はまず、以下のイベントを主催・開催します。

【2/14(土)開催】「第3回 ピアニスト髙橋望による ブックトークと音楽」
https://tech-dialoge.doorkeeper.jp/events/193824

●今月のブログ
『やさしいデータベース設計』、1月22日よりAmazonカテゴリ1位を獲得中
https://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2026/01/28/111344

2月14日(土)好評開催決定
「第3回 ピアニスト髙橋望による ブックトークと音楽」
https://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2026/01/26/180840

本日、株式会社ツークンフト・ワークスは創業9年目を迎えました
https://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2026/01/11/124838

●今月の雑感
「フィルターバブル」を考える ~文明の進化と諸刃の剣~「フィルターバブル」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
ネットに接続すると、自分に合った情報ばかりが表示され、自分と無関係な情報は表示されないという仕組みである。
その仕組み(コンテンツフィルタリング)で同質で多様性の少ない情報が人を泡のように取り巻く状況を、フィルターバブルと呼ぶ。
YouTubeやAmazon、TikTokを使っている人はそれが顕著なのでよくわかる。
これらのサイトは見ている人を特定しており、その人が見た履歴をもとに「好きそうなコンテンツ」を自動的に表示し、アクセス数を高めている。
いまではこうした、自己選択感が低いといったような利用者のネガティブな感情もAIなどのシステムで特定・最適化されているが、個人情報云々とうるさい昨今の対岸に、こうしたフィルターバブルが現実として存在しているのである。

▲ネットに広がる無意識な行動判断を促す力
YouTubeやAmazonを見ると、自分が好きな動画やよく買う商品に似たもののおすすめが出てきて、これはこれで選ぶ頭を使わず時短になり楽で便利である。
買うという意思決定を下したのは自分である。
しかし、意思決定を下しているのかしていないのかわからないうちに無意識な行動判断を促すのが、フィルターバブルの力である。
ゆえに「ネット上のコンテンツはフィルタリングされているので気を付けましょう」と警鐘を鳴らす人の声もよく聞く。
昔から、霊感商法や怪しげな勧誘など、無意識な(催眠状態での)行動判断を促し人からお金や心を奪っていく商法は数多く存在していた。
それが機械的に最適化され、ネット上で無限に広がった状態がフィルターバブルである。
生活を楽で便利にしたり、無意識な行動判断を促して高額な契約を成立させるなどといった、諸刃の剣である。
さらに、ネット上で瞬時に拡散されるという怖さも、フィルターバブルにはあるのだ。

▲諸刃の剣としての文明の利器
フィルターバブルは、知らないうちに人の心の隙間に入ってくる。
その意味でたとえられるのは、食品添加物や農薬、生活習慣病である。
食品添加物や農薬はどの程度の期間摂取したらどうなるのかが具体的にわからない。
長期にわたればわたるほどわからなくなる。
食べ物の傾向やライフスタイルが生活習慣病をもたらすことはよく知られているが、具体的になにをどれだけ食べたらどうなるのかまでかは(バランスの良いお食事を気遣いましょうぐらいしか)特定されていない。
フィルターバブルは、販売による売上を最大化するために行われているコンテンツフィルタリングの結果である。
同じく、食品添加物の使用や農薬の散布は、食べ物の生産性を最大化し、
売上を最大化するために行われている結果である。
売上が最大化されなければ、生産者や販売者は生活ができず、雇用主である企業は回らず、売買の競争で負けてしまい、雇用の機会は失われていく。
コンテンツフィルタリングも食品添加物の使用も農薬の散布も、本来はわれわれの生活を動かし、向上させるための、善としての存在だったのである。
しかし今では、生活を脅かす諸刃の剣なのである。

▲AI&ネット社会は、受け身になるリスクが高い
フィルターバブルはこれからもますます高度化する。
ネット上に蓄積される人の行動データは日々増加し、
AIはそれを使ってますます学習し、行動経済学を適用する。
人に無意識な行動判断を促すコンピュータの能力は、ますます高度化する。
その中には、人の生活を楽にするものがあるのと同時に、人からお金や心を奪っていくものも含まれる。
そして法規制とともにいたちごっこが続く。
こうした状況の中、私たちには具体的に何ができるのだろうか?
前述の、食べ物や生活習慣病にたとえるとわかりやすい。
これらに対抗する具体的な行動として、加工食品の摂取を控えたり、
体重管理や定期健診、定期的な運動をライフスタイルに組み込むことが一般的に推奨されている。
同じように、フィルターバブルに巻き取られないためには、ネット上の情報提供だけに依存せず、オフライン情報や実体験での感覚をも参照
するといった、情報の正しさを個人で吟味する行動をライフスタイルに組み込むことが重要である。
この行動変容は決して楽ではない。
食べ物や生活習慣病と同様、楽を追求して受け身になれば、時間をかけてリスクは蓄積される。
フィルターバブルは、受け身であるリスクに対し、測定して数値化し客観的な評価を下せないところに怖さがある。
とはいえ間違いなく、個人の判断力はじわじわと低下し、低下した判断
力は時間をかけて社会化していく。
一般市民から企業や組織のリーダー、国家の元首まで、低下した判断力が社会全体に浸透していく。
その浸透に歯止めがかからないと、政治経済の混乱や、最悪の場合戦争が起こる。
ネットの諸刃の剣としての恐ろしさは、ここにある。

▲文明の利器が生む格差を埋めたい
ジャレド・ダイアモンドのベストセラー『銃・病原菌・鉄』は、人類を東西に分布するユーラシア大陸系と、南北に分布するアメリカ・アフリカ大陸系に分類し、文明の発展とともに免疫を持つ・持たないという差異が格差を生み、ひいては貨幣を持つ・持たないという差異が人類に格差をもたらす様を描いた文明論である。
ネットは間違いなく便利だ。
そして、間違いなく社会全体を進化させている。
同時に、人の間で格差や分断を生み出している。
そしてAIはそれをさらに加速させている。
しかしわれわれ人間は、進化の加速度に追いついていない。
そこに追いつくか否かに、格差が生じている。
だからこそ私は、本を作ったり、本を通した対話から得られた、オフライン情報や実体験での感覚をますます大切にする。
こうした行動を通し、IT社会と人の成長の格差を埋めていきたい。
そうした本を作っていくことを心に決めている。

* * *
今後も、さまざまな対話と交流の場の提供を計画しています。
状況の変化は、随時メルマガやDoorkeeper、Facebook、Xなどでお伝えします。

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