緊急事態宣言とともに過ごす特殊なゴールデンウィークを経て、
休んだのか休まなかったのかがわからない方も多いと思います。
皆様においては、どのような大型連休を過ごされたでしょうか。
緊急事態宣言は三度目とあって、国民は慣れてしまったというか、
疲弊してしまったというか、第一回目の緊急事態宣言で見られたような
高度な緊張感はなくなりました。
感染者数の増加が抑えられることを心から願っております。

緊急事態宣言発令中の4月29日(木)昭和の日には、
知活人プロジェクト( https://www.chi-iki-jin.jp/ )にて
「6時間耐久「語りBAR」」なるイベントを開催いたしました。
ZOOMによる6時間ノンストップ放送では、
太田裕美のレコード鑑賞や80年代のバイク雑誌、シャープMZの取説、
岡本太郎の顔のグラス、QUEENの武道館ライブやメタリカの初来日パンフレット、
YMOのキーボード実演やギターの弾き語りによるルパン三世のテーマの披露など、
懐かしい昭和をテーマに「知」を探求しながら、
休みなしに大いなる雑談の6時間を共有させていただきました。
その間、エンドレスでお付き合いいただいたメンバーの方々には、
心から厚くお礼を申し上げます。
今度はもっと短時間で、もっと濃い集まりを企画できたらと思います。
またお声がけさせていただきます。
お目にかかれたら光栄ですので、ぜひご参集ください。


●今月のブログ


DXと問い、そしてアジャイル
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2021/04/21/115446

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』の中国語簡体字・
繁体字版の翻訳出版版権が販売決定
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2021/04/17/061435

私たちの生活を担う、「知足」の感性磨き
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2021/04/02/194642


●今月の雑感:世界平和とスタートアップのこと

哲学者のエマニュエル・カントが、国連のコンセプトを記した
『永遠平和のために』の中で、これからは企業活動が平和をもたらすだろう、
ということを述べていたのを、ふと思い出した。

自由な信仰と自由な企業活動(貴族が農奴や小作人からお金を受け取るという
形態ではない経済活動)の結果の一つがアメリカの独立とフランス革命だった。
自由平等博愛をビジョンに貨幣を蓄えたフランス人やアングロサクソンの
経営者たちは北米大陸に移民して、ビジョンに則したコミュニティを形成した。
アングロサクソン系の人たちは大陸東部に金融と港湾の街を作り、
フランス人は西へ西へとフロンティア(開拓者)として移動し、
西部劇を繰り広げ砂漠に町を作り、西海岸を拓いた。
西海岸に資本が蓄積され、IT企業ヒューレット・パッカードの創業を境に、
巨大な経済圏がシリコンバレーに築かれた。
シリコンバレーはフロンティアスピリット(開拓者精神)が根底にある地域だ。

スタートアップ企業といえば、
アメリカ西部のチャレンジ文化、起業文化の象徴である。
シリコンバレーは、GoogleやAmazon、Facebook、Apple、
いわゆるGAFAを産んだ地域である。
「フロンティアスピリット」や「自由平等博愛」がGAFAが創業される
根本の考え方にあった。

しかし今や、ITによる貨幣支配、自由支配、総取り、といった、
創業当初の考えから真逆の立場に立つことになった。
フロンティアスピリットを持って人間の自由平等博愛を
実現しようとした人たちが、お金を人から受け取り、貯め込み、
その人から情報や心の自由を囲い込むという、貴族が農奴や小作人たちから
お金をいただいていた時の状況に戻った格好だ。
どうも、このより戻しが、いまの起業文化に来ているように感じる。
今回のコロナ禍で、この企業文化が、
ポジティブな原理主義に戻っているように思える。
つまり、「フロンティアスピリット」「自由平等博愛」へのより戻しである。

取る時代から分ける時代に
「フロンティアスピリット」には、拳銃や爆薬で総取りするものと、
コツコツとザルで砂金を掘るという2つの方向性がある。
「自由平等博愛」には、ルールや狂信で総取りするものと、貨幣や富を分け与え
コミュニティを豊かにするという、2つの方向性がある。
いずれも、起業文化のより戻しで、この時代は後者に移行している。
つまり、起業家・スタートアップたちはコツコツとザルで砂金を掘り、
獲得した貨幣や富を分け与えコミュニティを豊かにする。
「理想」「そんなこと無理」と言われてきた、こうした新しい企業文化が、
いままさに常識になりつつある。
そう感じているのは、私だけではないはずだ。

これからは企業活動が平和をもたらすだろうというカントの予言は、
このような形で現実化しつつある。

そして、19世紀の哲学者ヘーゲルが言ったように、歴史は螺旋状に進んでいく。
歴史は修正を繰り返しながら進んでいくという。それはまったく同じ形では
繰り返されない。修正を加えながら、新しい姿を見せながら、歴史は進んでいく。

拳銃や爆薬で総取り、ルールや権力で総取り、といういままでの総取りは
もはや起こらない。
別の形態での小さな総取りが勃発するであろう。
そしていずれ、総取りが起こらなくなる。
なぜなら、総取りは自分たちの首を絞める行為なので。

貨幣の総取り、自由の総取りが、いまや自然の総取り、資源の総取り、
地球の総取りへと拡張している。
それがいまや地球外にまで出ていこうとしている。

総取りからソーシャルに
こうした総取りの真逆をいく日本のスタートアップたちは、欧米人には
考えもつかないマインドセットを持ち、社会的な価値と富を築こうと、
ブルドーザーのように進んでいる。
総取りの真逆をいく日本のスタートアップたちは、世界を変えていくであろう。

チャレンジを楽しみ社会というインフラを耕していく
「フロンティアスピリット」と、クールな自由平等博愛という
マインドセットが、日本のスタートアップたちの行動原理を支えている。

自分たちの首を絞める総取り文化の真逆を、
日本のスタートアップたちが実現する。
そうした近未来が、目の前に浮かび上がってくる。

天然痘の克服、ジェット機やコンピュータの開発、農奴の撤廃、公民権運動など、
人類は自分たちの首を絞めるものを排除し、よりよい生き方をイメージし、
それを実装し続けてきた。

コロナ禍で、そのよりよいイメージの実装が急務であることに、
全人類が覚醒してしまった。

課題解決から獲得した貨幣や富をシェアし、コミュニティを豊かにする
日本の起業文化、スタートアップ文化は、世界を救うはずだ。
その発端を、いま私たちは目撃している。
具体的に、なにがどのような形で豊かになるのだろうか。
新しい姿を見せながら進んでいく歴史において、
日本のスタートアップたちが見せてくれる明日は、とても楽しみである。