先日、第16回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞した『イントゥルーダー』、映画『ミッドナイトイーグル』、壮大な都市論『首都崩壊』の作家である高嶋哲夫さんを囲み、原作者の前でその作品を読み、語るという、非常に贅沢な読書会のファシリテーターをつとめさせていただきました。

高嶋哲夫さんの人間性や世界観、それに、いっさい揺るぎのない情熱を感じ、
会場が強い励みに満たされたのが印象的でした。
文学と科学の境界を取り払い、世界から情報を心で受け止め、
誰にでもわかる言葉で交差させ、手や指という筋肉運動で文字としてアウトプットし、
作品を紡ぎあげ、世に伝え続けてくださる、偉大な作家さんの生き方を、
肌で感じることができたのは、貴重な機会でした。

一冊の本が読者と作家さんとを繋げ、こうした場に呼び集め、
同じ空間で対等に言葉を交わせるのは、本当に素晴らしいことです。
改めて、読書会の力を確認しました。

では、お知らせと今月のブログ、今月の雑感です。


●お知らせ
今月も、「iSO式フラッシュ速読/ビジネスコース」を開催します。
都内で開発者が直々に伝授します。
ぜひお集まりいただき、速読の魅力を体感してください!

【2月6日(木):開発者登壇・短期集中特別講義】
「iSO式フラッシュ速読/ビジネスコース」無料体験入門 ~第49回 本とITを研究する会セミナー~
https://tech-dialoge.doorkeeper.jp/events/103002


●今月のブログ
読書会の記録:「大人の寓話」の古典を堪能:『山椒魚戦争』(カレル・チャペック著)
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2020/01/30/174153

隙のない二枚目男と、囲われ者の悲劇の美学(後編) ~『雁』(森鴎外 著)~
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2020/01/16/132153

隙のない二枚目男と、囲われ者の悲劇の美学(前編) ~『雁』(森鴎外 著)~
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2020/01/12/165447

新年、あけましておめでとうございます。
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2020/01/06/165204


●今月の雑感:「本を持って、街に出よう ~読書会のすすめ~」
読書というと、じっと一人で読むもの、
というイメージがあったが、最近はそうでもない。
非常にアクティブで、外交的なツールとしての本がある。
とくに近年、読書会が流行の兆しを見せている。
流行というよりもむしろ、定番の活動として世間に定着しつつある。
読書会とはまさに、本をツールにしたアクティビティである。
そして、本を使ったアクティビティを通し、人同士の出会いや発見、
変化を楽しむことができる。
本を持って街に出て、集まり、読みあう。
今回はそんな、読書会についてお話ししたい。

読書会とは「出会い」である
読書会を一言でくくると「出会い」である。
以下のような出会いがある。

・本との出会い
・人との出会い
・自分との出会い
・歴史との出会い

そして読書の最終目標は「自分の変化」ではないかと思っている。
出会いを通して自分が変化し、喜び、苦しみ、成長する過程。
読書会では、このような個人内部での出会いと変化を、他人と共有する。
これにより、出会いと変化が掛け算で増えていく。
いわば、集合的な出会いと変化の場が、読書会である。

参加者が持ち寄った見知らぬ本と出会う。
これができるのも読書会の魅力だ。
興味のない本でも、読書会という制約があることで、どうしても読むことになる。
視界の外にあった本が、読書会により視界に入ってくる。
そうした本との出会いこそ、自分を変え、自分の糧となってくれる。
関心の埒外にあった本こそ、自分の血肉となること多々ある。
とても貴重な出会いだ。

古典は、読書会ならではの題材であるともいえる。
古典には、いますぐ必要な情報はあまり記述されていない。
記述の内容自体、普遍的で抽象度が高い。
「いま」という時代にピンポイントで合致した記述とは異なる。
緊急性の低さからも、なかなか自発的に古典を読まない。
極端なことを言う。
仕事のために書店で売れているビジネス書を読むか。
もしくは『国富論』や『資本論』を読むか。
こうした違いである。

もちろん、売れているビジネス書を読むときにも、読書会は有効だ。
この場合、読んだ意見や変化を読書会の場で共有する。
そこに価値がある。
自分がなんとも思わなかったページに他人が深く関心を示すこともある。
逆に、自分が興味を抱いていたページに他人がまったく関心を示さない場合もある。
これを、感情論や印象論ではなく、
「具体的に~だから好きだ」
「~だから関心がない、嫌悪する」
と発言しあうところに、読書会の意味がある。
つまり読書会とは、理論的な言葉を交わす場である。

感情論や印象論が読書会を支配するとどうなるか。
途端にその場は崩壊する。
個人攻撃や知識のひけらかしなども同類。
読書会は、理論的な大人の言葉を身につける場としても機能する。

読書会を自分で開いてみよう
読書会を動かし、継続させる。
それにはさまざまなノウハウが必要だ。
たとえば、選書のことや、参加者の発言の交通整理。
ホワイトボードへの板書、議事録の作成、など。
ファシリテーションの手法が大きくかかわってくる。
難しいことは言わずに、もっとカジュアルに開く読書会も面白い。
「知的なエンターテイメントの場」としての読書会もある。

一冊の本との出会いが、人との出会い、自分との出会いのきっかけになる。
そしてそれが、自他の変化を促す。

読書会ほど、面白いものはない。
読書会の場から、夢を共有し、未来を作ることも可能だ。

本と出会い、本を読み、自他の変化を楽しむ。
読書会を通し、そんな人たちが一人でも増えてくれたら、とてもうれしい。

本とITを研究する会では、読書会のファシリテーション講座を実施してきた。
これからも開催するつもりだ。

本を読むことをテーマにした学びは、会で継続的に開催している。
速読といった、ハイエンドな学びも用意している。

興味のある方はご参加いただきたい。

本とITを研究する会 三津田治夫


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今後もさまざまな学びと問題解決の場を設けていきます。
状況の変化は、随時DoorkeeperやFacebookなどでお伝えします。
ぜひチェックしていただけたら嬉しいです。

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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今月も皆様にとって、健康で学びと実りの多い一か月でありますように!

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