ご開封いただき、心から感謝します。

寒い日が続きます。
いかがお過ごしでしょうか。

11月10日(日)は、天皇皇后両陛下の即位パレード「即位祝賀御列の儀」をご覧になられたでしょうか。
生でご覧になられた方もいらっしゃるでしょう。
私はテレビで観ていました。

警官と護衛の数に圧倒され、皇后陛下が涙されたり、短い時間で起こった歴史的ドラマをリアルタイムで体験することができました。

平成天皇が生前退位されるという、異例の改元となりました。
昭和天皇がご高齢になり、昭和から平成に移る際のじめじめとした自粛ムードが漂うあの雰囲気は、いまでも忘れられません。

そうした記憶をたどると、厳かで晴れやかな令和のムードとの対比は印象深かったところです。

ポジティブなムードに乗り、日本は平和国家として、令和の時代のアイディンティティを築いていけることを願っています。

では、今月の注目イベントと、今月のブログ、今月の雑感をお伝えします。


●今月の注目イベント
一夜だけ開かれるナイトミュージアムで特別な夜を過ごしませんか?
12月13日(金)、相田みつを美術館の夜間貸し切りで、講演と観覧の場を作りました。
以下が登録サイトです。

【12/13(金)開催】「有楽町のナイトミュージアム観覧&相田一人館長の作品秘話に耳を傾ける夕べ」 ~本とITを研究する会 大人の遠足特別編~
http://bit.ly/2p2D89E

今年を振り返り、思い出となる師走の大切な夜を、共に過ごしましょう!


●今月のブログ
1000人突破!感謝いたします。本とITを研究する会に向けてお知らせ
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2019/11/15/113443

【12/13(金)開催】「有楽町のナイトミュージアム観覧&相田一人館長の作品秘話に耳を傾ける夕べ」のチケット販売開始
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2019/11/10/121904

令和改元から半年、ベルリンの壁崩壊から30年周年を迎え、考えた「分断」と世界
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2019/11/07/134801

読書会の記録:職人たちが織りなす壮大な職業論を考察 ~『五重塔』(幸田露伴 著)~
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2019/11/02/170822


●今月の雑感:『「古典文学不要論」は、日本を救うのか?』

改元ではいろいろなことが起こったが、中でも印象が強いのは『万葉集』である。
令和の出典が『万葉集』であることが報道されると、たちまちベストセラーになった。これには驚いた。
ベストセラーってどんな力が働いて生まれるのか、まったくわからない。
それを改めて感じさせられた。

これにより古典文学ブーム再来かと思いきや、最近の教育界の流れとして、古典文学の学習に対して「不要」という意見が多いらしい。
このことをとある報道で耳にし、かなり仰天した。
理由はこうである。
「いまは覚えることが多く、古典は現実での利用価値が低い」
ゆえに「古いものから削除」とのこと。

目先の最新の情報は、生きていくためにもちろん重要だ。
しかし私たちが持つ「言葉のルーツ」を古典から知ることは、もっと重要ではないか?
「私たちがどこからきて、どこへ向かっていくのか」を知ることは、もっと重要ではないか?
日本は『源氏物語』など、原型をとどめた千年以上前の高度な文学を数多く保有する。世界でも稀な国である。
貴重なお家芸を持つ国の人間が古典不要論を言い出したのを知り、ある意味ゾッとした。

国は言葉で作られる側面が大きい。
その意味で、これはまずい事態だと認識している。

明治維新後、日本が欧米と対等に渡り合うために作りあげられたものがある。
それは、大槻文彦によって編纂された初の日本語辞典『言海』である。
これまで「日本語」が定義統一されていなかった。

大槻文彦は日本語のルーツをたどり、精査し、整理し、分類し、編集し、出版した。

これは、国家存続の危機を「言葉」に見出し、出版により国を救った国語学者がいた、という史実である。

憲法も歴史も、日本語辞典に記載された言葉で作られている。
私たちが生きていく土台である国家は、言葉によって支えられている。

古典文学(哲学や歴史も)に触れ、言葉のルーツを知る必要性は、学者だけではない。

私たち一般の日本人にも、生きていくための知恵と教養として、古典文学に触れることは重要である。
古典文学の学習に対して「不要」という意見は、「教養は不要」と言っていることに等しい。

私たちがどこからきて、どこへ向かっていくのかを知るための知性が伴った判断材料を、不要と言っているようなものである。

先日、とある経営者から、「日本では教養なしによくもリーダーになれるものだ」という話を伺った。

そこで、夏休みになると毎年トルストイの長編ロシア文学『戦争と平和』を読むという英国の経営者の話を聞いた。

欧米のリーダーには古典文学や哲学に親しむ人が多いと聞く。
日本ではあまり聞かない話だ。
ましてや政治家となると、古典文学や哲学の教養を持つ人は、どれだけいるのだろうか。

『万葉集』でもいいし、「『戦争と平和』を毎年読みます!」という政治家の話は、まず聞いたことがない。
教養という知性を伴った判断力を持つリーダーが世間の表舞台に現れてくることを、願ってやまない。

「古典文学の学習に対して「不要」という意見」と、日本の生産性の低下、学力の低下の要因は、決して無関係ではない。

目先の最新の情報は、生きていくためにもちろん重要。
しかし、目先ばかりにとらわれ「もっと先」を見ないのは、かなり危険。
「教養で飯が食えるのか!」と議論する時代は、とっくに終わっている。

一人一人がリーダーであるべき令和の時代、「もっと先」を見通す力を誰もが身につける。
そのために古典文学を読み、教養を身につける。

一度だけの人生、そんな自由な生き方を私たちは選択していきたい。

* * *

今後もさまざまな学びと共有の場を設けていきます。
状況の変化は、随時DoorkeeperやFacebookなどでお伝えします。
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今月も皆様にとって、健康で学びと実りの多い一か月でありますように!

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