「本とITを研究する会」メンバーの皆様へ

お世話になっております。
この一か月、皆様はいかがお過ごしだったでしょうか。
GW真っただ中。
ゆっくりとお休みや外出など、大型連休を満喫されていると思います。

4月25日(木)に開催した「たった90分で明日から即実践! エンジニアのためのシリコンバレー流英会話入門講座」は、大好評で講座を終えることができました。
実際にシリコンバレーに支社があるという方も来られていました。
エンジニアさんらの英語学習への熱心度はかなり高いと感じました。

5月も、好評の「おとなの速読」や、ビジネスモデルの作り方の講座を開催いたします。
ぜひお楽しみにご参集ください。

では、「今月ブログ」「今月の雑感」をお伝えします。


●今月のブログ

壮大なテーマと詳細なデータで読者を「次世代の大使」へと導く、リーダー必読の啓蒙書:『海の歴史』(ジャック・アタリ著)(前編)
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2019/04/27/192234

読書会の記録:伝記文学から人生の「陰と陽」を考えた『人類の星の時間』(シュテファン・ツヴァイク著)
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2019/04/20/183320

趣味から美学、崇高、自然まで、スリリングで難解な論考を展開:『判断力批判』(上・下)(カント 著)
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2019/04/12/193219

セミナー・レポート:4月3日(水)、株式会社C60秋葉原オフィスで「「エンジニアのための「おとなの速読」入門講座」 ~第18回 本とITを研究する会セミナー~」が開催
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2019/04/04/201528

駐輪場+シェアリングエコノミーの「みんちゅう」サービスが藤沢市と提携
http://tech-dialoge.hatenablog.com/entry/2019/03/29/190133


●今月の雑感:令和に向け、昭和のイメージとしての「東西冷戦」を考えてみた

先日、平成生まれの若者と話す機会があった。
元号改定に関し、「自分は平成生まれだから昭和のことまったくイメージつかない」と言っていた。
昭和生まれの私は、彼になにかイメージを与えられないかと、考えていた。

そこで私にふと落ちてきた昭和のイメージは、「東西冷戦」である。
平成生まれの若者にこれを話すと、そんな時代があったのかと、いささかおどろいているようだった。
確かに、平成世代の目から見たら、東西冷戦とは世界史の教科書に出てくる史実の一つである。

私の昭和のイメージは「東西冷戦」だった
東西冷戦を簡単に説明する。
いまでは消滅してしまった「共産圏」という、ソビエト連邦を中心にした共産主義国家圏が存在していた。
ヨーロッパではポーランドやチェコスロバキア、東ドイツ、ハンガリー、ユーゴスラビア、アルバニア、ルーマニア、ブルガリアという、東側諸国が共産圏に属していた。
1989年11月のベルリンの壁の崩壊とともに、共産圏は消滅した。
この東側の代表がソビエト連邦で、対する西側の代表がアメリカ合衆国である。

東西冷戦とは、言い換えると、共産主義対資本主義の戦いだった。
双方が武器を使わず緊張関係を保つ状態が続き、西側の仲間である日本でも、共産主義国家は敵であり、ソビエト連邦は秘密警察や粛清といった恐怖政治のい国である、という認識が多くを占めていた。
つまり、「ソビエト連邦=共産主義=怖い」というイメージを日本人は持っていた。

昭和を過ごした人たちは少なからず、共産主義に対してネガティブな感情を持っている。
ソビエト連邦がなくなったいまとなっては、共産主義はほぼ人畜無害。
世界史の出来事の一つ、古典思想の一つである。

東西冷戦時代が残した、いまのポジティブなライフスタイル
そのような歴史的背景を経て、いまではむしろ、共産主義が残していった考え方やライフスタイルを、私たち日本人はポジティブに受け入れている。

この点、昭和を生きた私の目からは、非常に新鮮に映る。

たとえば、人種や性別の差別をなくそう、という考え方。
共産主義国家では、多人種の共存や男女の平等な労働機会が徹底して実装されていた。

もう一つは、コミュニティ文化。
いまでは世界中にコミュニティが偏在している。
日本でもごく普通に、コミュニティが数多くある。
組織や文化を超えた人間のつながりが当たり前になっている。
共産主義をコミュニズムというが、これは語源を同じにしているからだ。

最後は、シェアリングエコノミー。
「共産」主義というぐらいで、資本やサービスは基本的に国家の財産で、それを国民がシェアする考え方で共産主義国家は運営されていた。
シェアリングエコノミーが存在しなかったかつての資本主義社会のように、強者が取り、弱者が取られる、という、弱肉強食構造の真逆である。
もっとも、共産主義は、こうした弱肉強食構造の打開策としてカール・マルクスが「資本主義の次にきたる社会構造」として編み出したものだから、資本主義社会が成熟するにおいて共産主義的な発想が織り込まれていくのは理にかなっているだろう。
そう考えると、150年以上先の未来を読んでいたマルクスという思想家は、大変な人物だ。

令和への改元を控え、昭和の冷戦時代を過ごした人間の一人として、上記のような時代と価値観の劇的な変遷を振り返ってみた。

情報統制や粛清、海外旅行の禁止など、共産主義国家は人びとを締め付ける恐ろしい政治を実施していたのは事実だ。
それを踏まえたうえで、このような、現在にも根付いた文化を生み出していたことは、ここではっきりと確認しておきたい。

自由と平和がいちばんである
旧東ドイツの友人が、「統一後のドイツは住みづらくなった」と言っていたことを思い出した。
犯罪が増えたのが一番嫌だと言っており、私がドイツに訪問した2011年には、覚せい剤中毒の患者が教会の牧師の自宅に押し入り、牧師は一命をとりとめるという事件があったことを、この友人から聞いた。
共産主義国家は国民を締め付けている分、治安も保たれていた、ということだ。

自由と平和、安全は、つねに微妙なバランスを保って共存しているともいえる。
やはり、自由と平和がいちばんだ。

恐怖政治も搾取もない、私たちの自由と平和が、日本のエンジニアの力で作り上げられるような、令和の時代にしていきたい。
そのために、日本のエンジニアが力を発揮できる場づくりに寄与していきたい。
私はその実現を願っている。


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今月もさまざまな学びと交流の場を設けていきます。状況の変化は随時DoorkeeperやFacebookなどでお伝えしますので、ぜひチェックしていただけたら嬉しいです。

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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

5月も皆様にとって、健康で学びと実りの多い一か月であることを祈っております!

本とITを研究する会 三津田治夫
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